嗅覚 ハエ 成虫と幼虫3

Or49b、Or33aはハエ成虫触角第3節の2−3の嗅細胞でのみ発現していることがin situ hybridizationで示されている。
Or47aは50以上の嗅細胞で発現している。Or47aはエステルなどに応答することが電気生理から示された。エステルに応答する受容体は複数ある(Or22a,Or43b)ので、エステルに対する嗅覚はハエで重要だと考えられる。この3種受容体とOr43a(ベンズアルデヒド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノンに応答する)の合計4種でその嗅物質候補が明らかにされている。しかしOr43bのノックアウトハエと、コントロールハエを比較しても、トラップあっせいで差を示す嗅物質は見つかっていない。エステル系の嗅覚は重複していて検出するのが難しいのかもしれない。植物の果実はエステルを産生するがどういう代謝経路でエステルをつくるのだろうか?さらに発酵植物体では乳酸菌による解糖系最終産物の乳酸と酵母菌によるエタノールからエステルができるのであろうか?

幼虫では成虫での発現がみられない17種の受容体を含め、いずれもin situで発現が確認できないらしい(Voshall(2001)26,207-213,Chemical Senses誌総説)。しかしこの総説では性的2型(オスとメスで発現が違うものはないと書かれており、Or22aがその後性的2型を示すことから、若干現在の知見は変化してきているかも知れない。
Carlsonが幼虫で発現していると発表予定のOr59aはこの総説ではin situで確認できないとされているOrの1つであるはずだから、幼虫ではごく少量のOrしか発現しておらず、検出が難しいかもしれない。
Carlsonはどうやって発現を検出したのか
Or59aプロモータ+Gal4, UAS-GFPをつかったのか?
ハエでは「マウスのようにこのようなconstructではOr59aの発現部を検出できない」とかは絶対にないのであろうか?