おもしろいのはおなじ共発現状態なのに、2つの嗅物質での応答が、優性劣性関係と、半優性(中間型)になる場合の2通りあるということである。行動応答でみた場合でも、Fuyama(1978)では

isogenizedした第二染色体系統で3ペンタノンに対する応答が高い系統と低い系統を交配すると、次世代の応答が両親の中間値になる結果を得ている。Tanimura et al.(1988)のトレハロース味覚行動応答においても高感度系統と低感度系統の子は中間になり、
高感度系統染色体とTre座欠失染色体のヘテロ個体は高感度染色体2本もつ個体の中間値になる。Tre座はその後実際トレハロース受容体だと他グループにより証明されているから、これらを考えると、ハエではmonoallelicな選択ではなく、2つのアリルが同じだけ少量Orを産生している可能性も考えられるが、実際はどうであろうか?あるいはOrX発現嗅細胞が複数ありmonoallelicな選択であれば、その半数の細胞で高感度受容体発現、のこり半数で低感度(もしくはnull)受容体発現ということで総合された応答が中間値になる可能性もある。ただ、どのくらいの比で発現してるかは不明であるが上記Or22aとOr47aが共発現した1つの細胞で電気生理応答が中間値をとるので、もし2つのアリルから同じだけ少量Orを産生している場合、1細胞レベルで高感度と低感度の中間応答になることは十分考えられる。それがそのまま行動応答と相関するかは?ではあるが。monoallelic発現なら1つの嗅細胞からの記録は、高感度受容体遺伝子OrXアリルと低感度受容変異体遺伝子OrX'アリルをヘテロにもつ個体では1細胞からの電気生理応答は高感度か低感度のどちらかになり、それは嗅細胞ごとに異なることになるはずである。

  • ハエでgene targetingでOrX1-tagA,OrX1'-tagBというふうにしてみたらどうなるだろう?

マウスでは選択されたOR遺伝子から、N端ーC端までの完全な(正常な)嗅物質受容体ORができなければ、第二のOR遺伝子が選択され、N端ーC端までの完全な(正常な)嗅物質受容体ORのない嗅細胞はないと考えられるが、ハエはそうではないのか?。Or83bや、Or22a,Or22bの共存はある。Δhalo(Or22a,b欠損個体)のab3A細胞にOr22a以外のOrが発現しているが、気が付かなかったという可能性はあるか?