この分子振動説で説明でき、分子構造(形状)説では説明できないと思われるのが、Hを重水素化(D化)した時に、分子構造は変わらないにもかかわらず、分子振動と匂いが変わるという点である。アセトフェノン(ベンゼン環に-CO-CH3が1つついている)の8個のHをすべて重水素にかえる。これをアセトフェノン-d8と称する。重水素化により、C-H stretchが3000cm-1から2200cm-1(C−D stretch)に変化する。希釈せずに用いた場合,匂いは,匂いは大体同じではあるが,重水素化により果実臭がより強く

  • 重水素は「水素が陽子1個と電子1個」なのに対し、陽子1個と電子1個、中性子1個加わったもの原子量が約2倍になる。水素分子(H2)では、分子量が倍になるため、沸点融点もわずかに10度ほど高くなるが、アセトフェノンとしての蒸気圧(揮発性)については何も記述はない。もっともわずかな差であろう。
  • ただ上記flexitral社HP上の

http://www.flexitral.com/index.html

文中articleをクリックして見れる15ページにわたるPDFファイル中Turinはアセトフェノンとアセトフェノン-d8の匂いの差をsmall differenceと書いている。おい,small differenceなのかよ?

以上、よくわからない。Natureには載らなかったにせよ、悪く無い(トンデモではない)仮説,いい仮説ではないか?といったらだめかな?少なくとも説を打ち立てたTurin氏は尊敬に値する。
もっとも良く理解できてないので批評できる「立場に無い」。
だが,受容体の嗅物質との鍵と鍵穴構造が比較的ゆるく,かなりの分子が受容サイトに入り込み,その時分子振動による特定の吸収波長を示す一連の物質が応答を引き起こす。ということでだめでしょうか?