monoallelicの意味するものはなにかを誤解していた。

マウスではmutually exclusive , monoallelic manner(相互に排他的1つのアリルだけという仕組み)で嗅物質受容体(Or)が各嗅細胞で発現するという表現がされている。各嗅細胞は1000(個/ゲノム)存在するOr遺伝子の中から1つのOrだけ選び、受容体タンパクとして発現している。この場合、上流調節領域、アミノ酸配列も含めて、全く同じOr遺伝子が染色体上別の場所に複数あっても、1つだけが選択される。さらに相同染色体上の対応する2つのアリルOrX1とOrX1'ダッシュ)間でも1つを選択するようだ(Chess A, Simon I, Cedar H, Axel R. ;Allelic inactivation regulates olfactory receptor gene expression.;Cell. 1994 Sep 9;78(5):823-34.みればわかるか。取り寄せ中) どうも限界希釈法で薄めていった嗅細胞(単一細胞?)からRT^PCRでOrをクローニングし、2つのアリルの塩基配列の微妙な違いから発現している場合、どちらかしか発現してないと結論しているようである。

  • と思ったらこれがそうかも要旨読んだだけだが。取り寄せないと。Ishii T, Serizawa S, Kohda A, Nakatani H, Shiroishi T, Okumura K, Iwakura Y, Nagawa F, Tsuboi A, Sakano H. ;Monoallelic expression of the odourant receptor gene and axonal projection of olfactory sensory neurones.;Genes Cells. 2001 Jan;6(1):71-8. (Erratum in: Genes Cells 2001 Jun;6(6):573.はタイトルのexpresionスペルミス指摘だけだった)
    • 読んでみた(3/11)MOR28をMOR28+IRES+tauGFPでgene targeting(相同組換え)でノックインしたホモ個体からGFP陽性ゾーンからの嗅細胞をトリプシン処理で取り出し皿にまく。GFP蛍光はその後失われる。DAPI で核を青蛍光で可視化する。(DNA2本鎖、RNA1本鎖存在)の細胞にMOR28のイントロン部をプローブに転写直後のスプライシング前のMOR28-hnRNAの存在をin situで調べる(赤)(転写鋳型となる染色体DNAの近くに存在するはずである)。つぎに細胞を変性させ、DNAを1本鎖にし、RNAを分解酵素処理で除く(つまりDNAだけになる)これにMOR28のCDSをプローブにしたものでMOR28DNA染色体部をin situで調べる(緑)。

全くMOR28を転写してない多くの細胞は核中で2箇所DNAが緑に光る。これに対しMOR28を転写している細胞の核はMOR28-DNAのみ(緑)部分と,MOR-28DNA・MORhnRNAの近接(赤と緑;重ねると黄色)部が1つづつあり、これはmonoallelicを示している。両MOR28アリルから発現なら黄色2つが核中にみられるはずということのようだ。

  • Serizawa et al.(2000)Nature Genetics,3, 687は、マウスにおいて、MOR28のtransgenic allele(外来のもの)とendogenous allele(内在のもの)の発現を区別できるようにし調べたところ、どちらか片方しか1つの嗅細胞中で発現しない(1つの細胞で共発現することはない)ことを報告した。また2つの外来MOR28遺伝子を並置し(tandem;それぞれ違うリポーターで発現をみれるようにしておく)、導入すると,どちらか片方しか1つの嗅細胞中で発現しない(1つの細胞で共発現することはない)ことも報告した。