さて例えば短距離走では、無酸素に近い状態で筋肉は、解糖系によるATP合成を行うわけですが、この時、ピルビン酸CH3COCOOHとNADHと水素イオン(H+)から、乳酸CH3CH(OH)COOHとNAD(+)を産生します。つまり2H分が乳酸の形で捨てられます。そうしないと量の少ないNAD(+)が再生できず、解糖系が止まってしまうからです。

  • この反応を触媒するのが乳酸脱水素酵素ですが、これにはL乳酸を産生する酵素とD乳酸を産生する酵素の2種類がありますが、微生物には両者がみられ、両酵素とももつ微生物もいます(ラセマーゼといってL乳酸とD乳酸を変換する酵素もあるということですが、これは2つの乳酸脱水素酵素の混合物を間違えて1つと思っているかもしれません)。