2004-03-01から1ヶ月間の記事一覧

P因子にFRT配列1つ入れたtransgeneをハエに入れ、作ったハエ1[A (P-FRT-P) B - C]と,ハエ2[A - B - (P-FRT-P) - C]を交配し、FLPで相同染色体間のFRT間に組換え、結合をおこさせ、

[A (P-FRT-P) - C]というB部のない染色体をつくるという方法で、ゲノムの56%くらいの領域で明確な端をもった欠失染色体をつくり、4月から金もうけ目的でない研究者に無料配付するという。突然変異体を得た場合、欠失染色体との相補性検定を行い遺伝子座を…

Bloomington stock center homeをみたら3/10更新ページ

http://flystocks.bio.indiana.edu/exel-dfs.htm でexelixis社と、センターのコラボレーション。 欠失塩基配列領域を同定した欠失染色体をもつ系統の提供を4月から始めると言うバンザーイ!!バンザーイ!!すごい、exelixis社太っ腹!!詳しくは以下の論文…

野口英世先生は黄熱病に倒れた。小学生時分によんだ伝記の憧れのヒトは,渡辺淳一の「落日燃ゆ」でまた違った魅力ある人としてわたしの中でよみがえった。渡辺淳一は会津に出入り禁止ではないんだろうかと心配しているがどうなんだろう。

ということは乳酸嗅覚をだめにする,または惑わす虫除けスプレーを開発すれば一儲けできるということか?Carlson先生のNatureの論文などのように蚊とハエのコラボレーションで一攫千金,研究費獲得にあくせくしなくていい生活。ーーーなんて夢のまた夢か。

Olfaction: Mosquito receptor for human-sweat odorant Elissa A. Hallem, A. Nicole Fox, Laurence J. Zwiebel, John R. Carlson Nature427, 212 - 213 (15 Jan 2004) Brief Communicationsハエab3A細胞でOr22aを欠いたハエで蚊のAgOr1,2は機能する。ハエ…

以上の結果から,蚊は皮膚の汗腺から分泌されるL乳酸とその他の匂い(未同定)を嗅覚で感知し,宿主を見つけること,宿主選択性は宿主の乳酸分泌量の個体差によることがあきらかになった。

黄熱病を媒介する蚊 Aedes aegyptiの♀はヒトの血を吸い,黄熱病ウイルスをヒトに感染させる。蚊に吸血されやすいヒトとされにくいヒトがいることはよく知られている。「蚊はL乳酸を嗅覚により感知し,誘引されること,皮膚から分泌されるL乳酸量に個人差があり,そのため宿主選択性が見られること」を著者らは報告した。

著者らは4人の被験者に手を洗わせて,1時間何も触らないように指示し,ガラス棒を両手でもみもみさせて皮膚からの分泌物をガラス棒につけさせた。これとコントロールのガラス棒の2サンプルからの空気流をY字型に蚊に与え,どちらの匂いのするフィルタ網に…

嗅覚 L乳酸は他の匂いと協働的に嗅覚認知され黄熱病媒介蚊を誘引

Steib,B.M et al.(2001)Chemical Sences,26,523-528 The effect of lactic acid on odour-related host preference of yellow fever mosquitoes.

この分子振動説で説明でき、分子構造(形状)説では説明できないと思われるのが、Hを重水素化(D化)した時に、分子構造は変わらないにもかかわらず、分子振動と匂いが変わるという点である。アセトフェノン(ベンゼン環に-CO-CH3が1つついている)の8個のHをすべて重水素にかえる。これをアセトフェノン-d8と称する。重水素化により、C-H stretchが3000cm-1から2200cm-1(C−D stretch)に変化する。希釈せずに用いた場合,匂いは,匂いは大体同じではあるが,重水素化により果実臭がより強く

重水素は「水素が陽子1個と電子1個」なのに対し、陽子1個と電子1個、中性子1個加わったもの原子量が約2倍になる。水素分子(H2)では、分子量が倍になるため、沸点融点もわずかに10度ほど高くなるが、アセトフェノンとしての蒸気圧(揮発性)については…

Turin論文はこのページlinkで読める

http://www.flexitral.com/research.htmlいや、難しくてわからんです。嗅細胞にはNAD(P)H-diaphorase活性が強くみられる(Zhao et al.,1994)。NAD(P)H-diaphoraseとは以下の反応を触媒する酵素である。 NAD(P)H とH(+)とAcceptor (酸化状態) >>>NAD(P)(+)とA…

人体への投与の観点から最近では点滴液にはL乳酸のみ含有する物が使われています。DL乳酸混合は使われなくなってきました。

この用途と、手術用ポリマー糸として乳酸ポリマーを使うため(一定時間後人体内で溶けてなくなる)、L乳酸の需要は高くなっています。L乳酸は有機化学でこれだけを合成できず、発酵で作らせ精製しています。従って比較的安く手に入りますが、D乳酸は恐ろしく…

ハエゲノム中にはD乳酸脱水素酵素遺伝子は予測されていません。ヒトなどほとんどの動物もL乳酸脱水素酵素でL乳酸を作ります。タコ、イカだけが変わっているのです。ちなみに高等植物にはタマネギなどD乳酸の多いものや、キャベツ、ポテト、アスパラガスなどDとLと同じ位含むものもあります。

調べたら過去にMartin AW, Jones R, Mann T. D(--)Lactic acid formation and D(--)lactate dehydrogenase in octopus spermatozoa. Proc R Soc Lond B Biol Sci. 1976 May 18;193(1112):235-43. Mann T, Martin AW, Thiersch JB, Lutwak-Mann C, Brooks DE,…

動物にはL乳酸が多く、L乳酸脱水素酵素がヒト、ハエで見つかってますが、なんとタコ、イカ筋肉にはD乳酸が多いそうです

Ohmori et al. (1997) Zoological Science, 14, 429-434 D-lactate is present in much larger amount than L-lactate in Cephalopods and Gastropods.さらにそのD乳酸脱水素酵素のアミノ酸配列(1次構造)も近く発表されるそうです。(大森先生私信)。大…

さて例えば短距離走では、無酸素に近い状態で筋肉は、解糖系によるATP合成を行うわけですが、この時、ピルビン酸CH3COCOOHとNADHと水素イオン(H+)から、乳酸CH3CH(OH)COOHとNAD(+)を産生します。つまり2H分が乳酸の形で捨てられます。そうしないと量の少ないNAD(+)が再生できず、解糖系が止まってしまうからです。

この反応を触媒するのが乳酸脱水素酵素ですが、これにはL乳酸を産生する酵素とD乳酸を産生する酵素の2種類がありますが、微生物には両者がみられ、両酵素とももつ微生物もいます(ラセマーゼといってL乳酸とD乳酸を変換する酵素もあるということですが、こ…

真面目なノンフィクションです。筋肉でタコイカはD乳酸を作り、ヒト、ハエはL乳酸を作ります。タコイカだけが特別なのです。

動物は筋肉を動かして、捕食者(プレデター)から逃げたり、獲物を追ったりしなければ生存できません。従って、筋肉では無酸素に近い状態でも、なんとかして動き続けるため(ATPが必要)、ATPを無酸素でも産生できます。いわゆる解糖系によるATP合成です(酸…

信濃毎日新聞3/13全球化を生きる10 先住民文化にも知的所有権

共同通信南米支局の本蔵一茂さんの記事が載っていた。他の新聞社にも載っているのか?ブラジルアマゾンの先住民がもつ「おばあちゃんの知恵袋」を利用して(きっかけにして)先進国企業が研究開発して金儲けをし、特許までとる。自分たちの知的所有権は無視…

嗅覚 先住民文化にも知的所有権

http://www.jst.go.jp/pr/info/info8/ 坂野研サイエンス2003のすごーく平易な解説ページ発見。 偶然に1つ選ばれたら、他を抑制、、てな 偶然なんかいな?少なくともゾーンは1から4のうちどれか決めるんだよね。なんか嗅覚ばっかだけど、とりあえず勉…

(Vosshall et al. 2000)はこの論文議論のなかで、次のようにハエではmonoallelicな発現(2つのOrXアリルのうち1つのみ選択)はおきてないだろうとしている。以下論理展開である。

1)マウスでは1つの細胞で、2つあるOrXアリルのうち片方のアリルだけ発現する(Chess et al.1994)(2つのOrXプロモーターのうち1つだけ活性化というわけやね),さらに、 2)マウスで,OrX-transgeneが発現している嗅細胞では内在 OrX geneは発現してない(…

嗅覚 ハエ 成虫 触角 monoallelicでない?2

キイロショウジョウバエ成虫触角の嗅細胞でOr83bはともかく(別においといて) 1嗅細胞1受容体だろうといっているのはin situ雑種形成法による発現RNA解析で1細胞に2つのOr-mRNA同時ラベルは検出されないという結果によるものである(Vosshall et al. 200…

おもしろいのはおなじ共発現状態なのに、2つの嗅物質での応答が、優性劣性関係と、半優性(中間型)になる場合の2通りあるということである。行動応答でみた場合でも、Fuyama(1978)では

isogenizedした第二染色体系統で3ペンタノンに対する応答が高い系統と低い系統を交配すると、次世代の応答が両親の中間値になる結果を得ている。Tanimura et al.(1988)のトレハロース味覚行動応答においても高感度系統と低感度系統の子は中間になり、 高…

ショウジョウバエ成虫の場合、

Or83bは嗅細胞全体の80%で発現(Or83bは偽遺伝子ではないが嗅物質受容機能にどうかかわるか、かかわらないか不明) Or83b+細胞はもう1つだけOrを発現 Or22a,Or22bは同じ嗅細胞ab3Aに発現と思われる(Or22bは機能していないようだが偽遺伝子ではなく、Dro…

Lewcok and Reed (2004)PNAS,101, 1069-1074をみて、おもしろいことに気がついた。

彼等は相同組換えによりtransgeneをM71とM72間に挿入した M72-(M4プロモーター+taulacZリポーター)-M71という相同染色体A(1本)と M72-(M71+IRES+tauGFPレポーター;M71座にノックインしたもの)という相同染色体A'(1本)を もつ個体(double heterozygo…

相同染色体上で対応するOrX1とOrX1'

の選択についてのみmonoallelicといっているということだろうか?(3/11記入そのようである) 1000個から1個のOrを選ぶのをmonoallelicといっているのではないような気がする。(3/11そうだった)

そもそもアリルという用語であるが、生物学辞典によれば対立遺伝子とあり、

1.対立形質に対応する遺伝子。 2.相同染色体の相対応する部位、すなわち相同の遺伝子座を占める。 とある(1.2の番号は説明のため私が勝手につけた) まず2の意味でいって、M4,M71,M72,K22,MOR28などはお互いアリルではない(誤解していた)。相同染色体の相…

Or遺伝子は1000 x 2(個/1細胞;X染色体上にあればオスはその分x2でなくx1であるが)存在するが、相同染色体上で対応するOrX1とOrX1'のうち1つだけが選択されるということはどうやって示されたのか?(示されたんだよね)

とりあえず調べた限りは上の通り。OrX1+IRES+tauGFPとOrX1'+IRES+taulacZを作ってノックインか、または同じ染色体領域に挿入して、OrX1+IRES+tauGFPをもつ相同染色体とOrX1'+IRES+taulacZをもつ相同染色体を1本ずつもつ個体でリポーターの共発現がみられる…

monoallelicの意味するものはなにかを誤解していた。

マウスではmutually exclusive , monoallelic manner(相互に排他的1つのアリルだけという仕組み)で嗅物質受容体(Or)が各嗅細胞で発現するという表現がされている。各嗅細胞は1000(個/ゲノム)存在するOr遺伝子の中から1つのOrだけ選び、受容体タンパク…

Eggan K, Baldwin K, Tackett M, Osborne J, Gogos J, Chess A, Axel R, Jaenisch R. :Mice cloned from olfactory sensory neurons.;Nature. 2004 Mar 4;428(6978):44-9. Epub 2004 Feb 15.がでたことを今日知った。以下に日本語解説記事がある。

http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/v428/n6978/abs/nature02375_fs.html&dynoptions=doi1078906501 やっぱ、嗅物質受容体およびその発現機構では抗体のようなDNA組換えはない(ゲノムに不可逆な変更ない)ということか?さっ…

嗅覚 マウス 1嗅細胞1嗅物質受容体法則3

2/28/2004の日記を書き直していたら疲れた。 日に日に頭が衰えていくのを実感する。マウスで1嗅細胞1嗅物質受容体法則を成り立たせる機構として1あるOr遺伝子の選択機構(といっても他のOr発現を少し許す),2選択されたOrが正常タンパクなら他のOrを完…

嗅覚 ヒト 

Bettina Malnic, Paul A. Godfrey, and Linda B. Buck The human olfactory receptor gene family PNAS 2004 101: 2584-2589がでた。Buck & Axel(1991)で有名なBuck先生。 ヒトの嗅物質受容体の論文。 以前にZozulya等(2001)が報告したのと何がちがうのだ…

嗅覚 ハエ Or49bと乳酸嗅覚

Or49b、Or33aはハエ成虫触角第3節の2−3の嗅細胞でのみ発現している.乳酸CH3CH(OH)COOHは蒸気圧の非常に低い物質である(不斉炭素が1つあるのでD体とL体の2つの鏡像異性体(光学異性体)が存在することは高校教科書にも載っている)。 それにもかかわら…

嗅覚 ハエ 成虫と幼虫3

Or49b、Or33aはハエ成虫触角第3節の2−3の嗅細胞でのみ発現していることがin situ hybridizationで示されている。 Or47aは50以上の嗅細胞で発現している。Or47aはエステルなどに応答することが電気生理から示された。エステルに応答する受容体は複数ある…